2022年2月26日土曜日

フェアプレー

  皆さんこんばんは、平松です。

今週も木曜に監督が投稿されていたので、本来の担当日ではございませんが本日、投稿させていただきます。

北京五輪が無事に終了し、日本チームは過去最高数のメダルを獲得されたようですが、メダルを獲得獲得出来なかった選手の方々も含めて、本当に素晴らしい大会だったと思います。

そんな今回の五輪ですが、皆さんの耳にも否が応でも入ってきたかと思います「ドーピング問題」

色々な意見があり、私自身がそれを判断出来たり発言出来たりする立場ではないので、このような公の場でのコメントは差し控えさせていただきます。

ただ、これを機会に皆さんに、日本のドーピング対策について、少しご紹介したいと思います。

まず、世界レベルで戦える選手になると、JADA(日本アンチドーピング機構)という組織の監視下に置かれます。大げさでもなんでもなく、24時間365日常に自分がどこで何をしているのかという事を報告し続ける義務が生じ、急遽予定に変更があればそれもすぐに報告しなければなりません。

そして、選手から提出されたその情報を基に、検査員が抜き打ちで検査に現れます。もし、検査員が報告のあった場所に行って本人がおらず、60分経っても現れなければイエローカードとなり、これを3回やってしまうとドーピングをしたと同じ扱いでレッドカードになります。*もちろん、検査で禁止薬物の陽性反応が出れば、一発レッドカードです。

トライアスロン界では、限られた関係者のみですが、誰がどこでどのような種類の検査を受けたかどうかの情報共有がされる為、もし、上記のようなイエローカードとなるとそれが関係者に共有されてしまいます。当然ながら、そのような事になるのは本人も望んでいないので、対象選手は常に自分の居場所情報を正確に報告し続けています。

さらに、以前、日本のとある競技でライバル選手との競争に何としても勝ちたいという気持ちがあらぬ方向に傾いてしまい、その選手のドリンクに禁止薬物を入れて、相手がドーピング検査で陽性となって、自分が代表選考で勝ち残ったという事象が起こりました。その後、犯行を行った選手は自分が犯した罪の重さに耐えられなくなり、自ら犯行を自供しました。この事件を機に、「自分が持ってきた飲み物や食べ物でも、一旦目を離したモノは口に入れるな」「例え他人の犯行であっても、そういった事が原因でドーピング違反になった場合は、自分にも責任があると思え」と言われるようなりました。

因みに、禁止薬物リストは毎年更新され、年々増えていきます。聞いたことがあるかもしれませんが、風邪薬一つとっても禁止薬物に指定されている成分が入っている物もあるので、選手たちはサプリメントや薬にも最新の注意を払います。最近は禁止薬物が入っていない製品だと一目で分かるように、認証マークがついた製品も数多く販売されております。

世界を舞台に戦う選手は皆、このように常に色々な事に気を付けないといけない状況の中でトレーニングに励み、国や応援してくださる周囲の方々の思いを背負って、想像を遥かに超えるプレッシャーと戦いながらレースに挑んでいます。

日本人は民族性もあってドーピングをやってまで勝つ事を良しとしませんが、国や民族性が違えば、考え方も違います。「自分の将来が輝かしいものになり、自分を応援してくれる人々の期待にも応える事が出来るのであれば、どんな事でもやる」という、我々には理解が難しい考えを持ち、命を削って正に「死に物狂い」で勝負を挑んでくる選手もごく一部ですが存在するというのが今のスポーツ界です。

もちろん、そんな選手は本当にごく一部であり、どんな理由があっても正当化は出来ませんし、殆ど選手は薬物に頼ることなくフェアプレイで自己の限界に挑んでいる訳ですが、そんな選手達が熱い戦いを繰り広げるからこそ、それを見る人々が熱狂し、尊敬や憧れの念を抱くのかもしれませんね。

あまり纏まりのない文章になってしまいましたが、とにかく、これが今のスポーツ界であり、皆さんが思っている以上に、世界的にもドーピングは厳しい監視の目が常に光っております。この世界に携わる人間の一人として、そんな監視下に置かれながらも頑張るアスリートに、これまで以上のご声援をお送りいただけるよう、心よりお願い申し上げます。